阿佐谷英語塾HOME自由英作文 > 自由英作文の書き方と採点基準

(1.29.2016 更新 重要)

小論文の場合と同様に,自由英作文の書き方と採点基準について,様々な考えが述べられている。しかしそのいずれもが,特定の場合にだけ当てはまることを一般化しているか,それどころか,何の根拠もない主観的な思い込みすぎないこともある。そもそも「自由英作文」という言葉が一人歩きしているようだ。どの大学・学部が英語の試験の設問にこの言葉を使っているのだろうか。要は「和文英訳」以外の「英作文」を表す便利な言葉として一般的に使われているだけで,実際にはいろいろな条件が付いている「不自由英作文」そのものから,ほとんど制約のない文字通りの「自由英作文」まで千差万別である。

現在,最もレベルが高いのは,英語の課題文を基にして300語以上の英語で賛否を述べる秋田の「国際教養大学」か,リスニングで聞き取った英文の内容について200語程度で自分の意見を述べる「東京外国語大学」のどちらかだろう。東京外語の場合は,まず 150語程度の要約を求められるが,日本語の課題文が与えられていた2008年までは,要約も 200語程度で,合計 400語 程度だった。
国際教養大学の場合は,語数と共に,以下の指定が付いている。(2015年)
The essay will be graded for CONTENTMENT and LANGUAGE CONVENTIONS.
The essay must:
・be at least 300 words
・have ONE main ieda (thesis) that is developed
・have an introduction, body and conclusion
・avoid copying directly from the article
一方、東京外語は以下の指定が付いている。(2015年)
Focusing on one or more points mentioned in the lecture, write your opinion with reasons and examples from your own experience. 

国際教養大学は明確に小論文 (short) English essay writing の形式に則って書くことを求めているのに対し,東京外語は高いリスニングの能力を求められるが,with reasons and examples from your own experience という条件は,下線部を別とすれば,他大学の100語程度の「自由英作文」とほとんど差がない。

国公私立大学の過去何年分かの問題のすべてに目を通したわけではないが,随筆や作文ではない本格的な「小論文」形式の essay writingを明示的に求めているのは,おそらく国際教養大学だけである。年度によっては (at least) four paragraphs という指定が付いたこともある。問題は上記の「明示的に」という部分である。つまり明示していないだけで,他大学も,国際教養大学と同じことを求めているはずだ,という思い込みが生じてくるわけだ。もちろん出題する大学・学部が採点基準を公表しない以上,誰も本当のところはわからないので,もしかしたらそういう大学・学部もあるかもしれないが,あくまでも例外である。

冒頭で「小論文の場合と同様に」と書いたが,日本語の小論文の場合も,すべてが「小論文」と明記されて出題されているわけではない。ところが,「小論文」を指導する塾のなかには,「問題提起・意見提示・展開・結論」という四段落構成で書かれていなければ,即採点対象外になると言い切っているところさえある。かつて〇〇ハイスクールで小論文の講座を担当し,現在も小論文の塾を主催している H.Y氏が提唱した,型に当てはめて書くという考えを忠実に守っているようだ。当時,〇〇ハイスクールの受講生たちが判で押したように「課題文によると...」で始まって「よって...」で終わる答案を書き,大学の採点官たちはうんざりしたのではないかと言われたものである。

確かに,何をどう書いたらよいのかわからない受験生たちに,テンプレート(template: 鋳型) にはめ込むことで曲がりなりにも文章の体裁を整える道筋を示したことは大いに評価されてしかるべきだが,四段落構成でなければ採点されない,四段落構成であればそれなりの得点が可能だという極論に走ると,功に劣らぬ罪の部分も見えてくる。自分が採点する立場だったら直ぐにわかることだが,読むのが苦痛にならない程度の論異的一貫性(段落構成はそれを担保する一つの方法にすぎない)や最低限の常識と教養に裏打ちされた内容がなければ,採点する気にもなれないだろう。

以下の二つの段落について次の補足・訂正を行ないます。(重要)

「自由英作文」の場合も同じことを言う人がいる。ご本人が善意であることは否定しないが,50語を超えたら四段落構成にしなければ採点されない,などという発想がどこから出てくるのか。仮に60語を四等分したら一段落15語である。15語で一体何が書けるというのか。語数多めの100語 の場合でも25語である。これは自滅行為である。[訂正前]早稲田の国際教養学部では a paragraph of English という指定が付くことがある。[訂正後]早稲田の国際教養学部では2006年,2009年,2013年,2014年に write a paragraph (by writing a paragraph) という指定が付いていた。改行段落により,中味スカスカの英語で解答欄を埋めることを認めていないのだ。〇〇ハイスクールは,東京外語の200語 程度という指定について,160語未満・240語超えは採点対象外と言っていたが,大学が解答例を公表した年度の解答は,長いときは240語を超えていた。もちろん四段落構成ではない。

・一橋大学のように120語から150語というかなり多めの語数の場合,視点を変えるなど,意味上区切りが良ければ複数段落構成にするのは差し支えないが,one paragraph で書いてもまったく問題ない。[訂正前]早稲田政経の場合も同様。早稲田法の解答スペースでは改行段落は基本的に不要だが,解答欄がしっかり埋まっていれば二段落構成でも問題ないだろう。[訂正後]早稲田政経の場合,実際には「自由英作文」が出題されるようになった2008年から一貫して write a paragraph という指定が付いている。早稲田法の場合も2004年から同様の指定が付いている。したがって,改行段落をすれば即零点の可能性もある。訂正前の記述は語数に基づく一般論にすぎず,実際の試験では設問文をきちんと読んでから解答することを忘れずに。東京大学は,語数が 50-60語だった2010年と2012年に「複数の文になっても(複数の文を用いても)かまわない」という補足が付いていた。つまり複数段落で書くことなど求めていないのである。もっとも 50-60語の英文を one sentence で書くのは至難の技であり,悪文の見本になりかねないが。要するに,問われているのは,それなりにまとまった内容と量の英文を,英語として成り立つ表現で書けるかどうかである。なお,改行する場合は(書き始めと同様に)字下げをすることを忘れずに。字下げなしで減点する大学はあっても,その逆はないからだ。

・トピックが自分の守備範囲内か守備範囲外かによって,得点はかなり違ってくるが,それはやむを得ない。ほとんどすべてのトピックが守備範囲外という人は,英語力以前,世界の動きや時事問題に無関心でいた付けが回ってきたことを悔やむしかない。ただし,現国,社会,英語の読解問題で身に付ける知識はすべて役に立つ。また自分の受験大学・学部はもちろん,むしろ他大学・学部の過去問がそのまま出ることもある。過去問に取り組むのが,直前対策としては最も効果的である。

・テンプレートにはめ込む具体的な方法はごく常識的である。賛否を問われている場合にはまずそれを明らかにし,その理由(論拠)を指示に従って一つ,あるいは二つ(以上)挙げていけばよい。具体性のレベルは主題によって異なるが,理由として具体例を挙げることになる。トピックが自分の背景知識の範囲を超えている場合には,(創作を含む)ごく身近な例で間に合わせる。主題から大きく外れていなければ,減点はされないだろう。なお始めに,挙げる理由の数を言い切る必要はない。もっとも,three reasons と書いてニつしか挙げられなければ,後で two reasonsに変えればよいだけのことだが,これを忘れると減点の対象になる。二つ以上の理由を挙げるときの決まり文句は The first reason is that ... The second (reason) is that ... (The third is that ... ) か First(ly), ... Second(ly), ... (Finally,... ) だが,二つの場合は,二つ目の理由の前に Moreover, や Besides, を置くだけでもよい。It is true that ... However, ... 式の譲歩は,語数が多い場合には効果的だが,語数が少ない場合は肝心の主張(論点)が曖昧になる恐れがあるので注意したい。

・誰もが言うごく常識的なことだが,よほど力のある人以外は次の手順を踏んだほうがよい。賛成か反対かは自分が書きやすいと思う方を選ぶ。その判断を誤ると思わぬ苦戦を強いられるので,反対論のほうが書きやすいという「小論文」の一般論に惑わされないようにしたい。特に「自由英作文」と「小論文」の両方が出題される大学・学部を受験する人は要注意。理由を考えて思いついたことをメモ書きし,全体の構成を考える。日本語で書くか英語で書くかはその人の英語力次第である。英語で書ける人はかなり力のある人だろう。この過程をスキップして書ける人は教師レベルの力の持ち主である。two reasons という指定に反して一つしか浮かばなければ,高得点狙いは諦めて,時間をロスせずに書き始める。書いているうちに二つ目の理由らしきものが浮かんでくることもある。全文を日本語で書いてから英語に訳すという手順は本番では絶対に避けなければいけない。間違いなく時間切れになる。仮に力不足であっても,実際に過去問を解いて慣れるしかない。ただし,後述のように国公立と私立では時間の制約に差があるので,受ける大学によって事情が異なる。

・基本的に英語力のテストであり,英語として成り立たない構文レベルの誤りは大きく減点される。しかし冠詞,前置詞のレベルまで完全な人はまずいない。(入試の自由英作文で用いる通常の文脈では)定冠詞または所有各と共に用いるべき語の代表は environmentだろう。名詞の可算・不可算がわからないときは the+単数形で逃げる。many informations, much populationレベルの誤りは必ず減点される。スペルのミスは同じ単語については一回しか減点されないはずだが,複数の単語でやると相当な減点になる。後で見直す時間があれば理想だが,まずその余裕はないだろう。特に問題の総量が多い私大の場合は時間との勝負になる。

・長く書くとそれだけミスも犯すので短めに書くほうがよいというアドバイスは,指定の語数を満たしていればその通りだが,語数指定がないときは解答欄の空きとのバランスで考える。最後の行までビッシリ埋める必要はない。万一はみ出すほうがまずい。なお指定の語数に満たなかった場合の採点は,大学・学部によって異なるが,即零点とは限らない。

・賛否を問う形式ではない,自分の考えを自由に述べるタイプが苦手という人は,むしろ前述の段落構成を頭の中で考えると書きやすいかもしれない。ただし,それにこだわるとかえって書けなくなる人は止めたほうがよい。型も,習得して使いこなすには相当な練習が必要だからである。

・最後に,減点法か加点法かという問題に触れておきたい。たとえば文法・構文の誤りやスペルミス等は減点方式で,内容は加点方式だという人がいる。その通りかもしれないが,減点法と加点法では考え方が逆のようでいて,実際には相対値(他者との比較)としての得点にはそれほど影響しないので,あまり気にする必要はないだろう。出題されるトピックの内容はかなりレベルアップしているが,それで支離滅裂なことしか書けなければ,高得点をもらえるはずがない。そこそこの内容が書けていれば,あとは英語表現として成り立っているかどうかの勝負になる。両方とも抜き出ている人は少数の例外であり,最難関大学の受験者・合格者といえども,まだほとんどがそのレベルに達していないのが実情である。

事実に基づかない思い込みがまかり通っていることはおわかりいただけたと思うが,これはあくまでも今現在の大学入試の話であり,TOEFL 等の資格試験では事情が異なることを理解していただきたい。なお,阿佐谷英語塾としてそれ相当の数の過去問に解答例を提供してきましたが,初期の一橋大学の解答例の「一部」には,ある種,私の遊びのようなものが含まれていることを断っておきます。あえて,初めに結論を提示するという型をとらず,本音を明かさずに読者を引っ張っていって,最後に落ちをつけるというスタイルを意識的に用いています。今日の英語志向の強い時代背景を考えると,大学の採点基準も少し変わってきているはずですから,構成としては最近の解答例のほうを参考にして下さい。

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