阿佐谷英語塾難関大学受験 英語の勉強法

英語と日本語の基本的な違い


(2018.11.20 更新)

1 英語と日本語の単語の違い

異なる言語については多かれ少なかれ言えることですが,英語と日本語とでは文の構成要素である単語の発音と綴りがまったく違います。発音や綴りは覚えるほかはありませんが,英語の或る単語が日本語の或る単語に意味的に対応していると考える確たる根拠はありません。一応便宜的に或る訳語を当てているにすぎません。たとえばdog,cat,river,lakeなどが,それぞれ犬, 猫, 川, 湖に完全に対応している保証はありません。girlと少女,boyと少年くらいになると,対応関係はかなりあやしくなってきますが,truthと真実,reasonと理性が等しいと言い切るのはむしろ不可能に近いことです。
しかし先人たちが時間と労力を費やして築いてきた「約束事」を反故にしてしまうと,またジョン・万次郎の時代から仕切り直しになります。ここは先人たちの労を多として,先例に倣うことにしておきましょう。

2 英語と日本語の語順の違い

単語のレベルを別とすれば,最大の違いは語順の違いです。英語がSVO,SVCであるのに対し,日本語がSOV,SCVであることは誰もが知っているでしょう。実はもう一つの大きな違いは,修飾語の位置です。日本語は,一部の口語表現を除くと,形容詞的か副詞的かを問わず,修飾語は常に被修飾語の前に置かれます。"美しい 女性" "ゆっくり 歩く" など英語で一語の場合はもちろん,to不定詞の形容詞用法,関係詞節,同格の名詞節など英語では名詞の後に置かれるものが,日本語ではすべて名詞の前に置かれます。例外は非限定用法の関係詞節の一部です。この語順の違いは,日本語を英語に置き換えるときには,誰もが認めることです。日本語の語順にしたがって,単語だけ英語に置き換えていっても,英語の表現として意味を成すことはまずありません。

最初に挙げた文の主要素の語順がいわゆる五文型ですが,これは便宜的なものであり,あまり分類にこだわる必要はありません。特に補語と補語的な働きをしている副詞(句)を区別する必要はありません。
たとえば School is over. The house is on fire.など。ただし,SVOCという概念は,OとCが離れた場合と,SVCOという倒置が生じた場合に重要です。中級以上の英語力がある受験生にとって要注意なのは第五文型です。

語順の違いについてごく基本的な補足をしておきます。一般に言われていることですが,英語において語順=文型が重要なのは,英語には日本語の助詞(は,が,を,に)に当たるものがないからです。前置詞の to がやや「に」近い働きをしていますが,イコールというわけではありません。英語の I handed Tom her letter. (=I handed her letter to Tom.) を日本語では「私はトムに彼女の手紙を渡した(私は彼女の手紙をトムに渡した)」以外に「彼女の手紙を私はトムに渡した」と言っても「トムに私は彼女の手紙を渡した」と言っても「トムに彼女の手紙を私は渡した」と言っても意味は通じます。「は,を,に」という助詞の働きによって,主語と目的語の区別がつくからです。

英語にはこれを補う(代)名詞の格変化がありますが,名詞の場合は主格と目的格の区別はありません。代名詞の場合は,一人称では主格・所有格・目的格の区別はつきますが,二人称では主格と目的格の区別はつきません。三人称では,she には所有格と目的格の区別はありません。(ここでは英語の歴史や英語以外の言語については触れません。また日本語の「は」と「が」の違いも省きます。)

実際には英語にも「倒置」というのがあって,常にSVO,SVOO,SVO to/for O,SVOCという語順になるわけではありません。しかし,こうした語順の原則(いわゆる文型)を理解していないと,その例外である「倒置」を理解することはまず不可能です。つまり,原則を知っているからこそ例外を理解できるのです。ただし文の主要素(S,V,O,C)に関しては,基本となる「倒置」のパターンは限られています。SVO→OSV,S be C→C be S,否定の語+疑問文の語順,場所・方向の副詞(句)+完全自動詞[=目的語も補語も不要な動詞]+主語,がその代表的な例です。問題は文を構成しているのは文の主要素だけではなく,様々な修飾語句が存在することです。修飾語は名詞に掛かる形容詞(句)と名詞以外のものに掛かる副詞(句)に分かれますが,文の構造が分かりにくなる原因の一つは「前置詞+名詞」という副詞句の存在です。例えば次の英文(の内容)を一読して理解できるだろうか。ポイントを文構造(構文)の把握だけに絞って考えてみよう。

We often apply to a lot of unimportant things the same serious consideration we might give to vital matters.
この文の本来の語順は
We often apply the same serious consideration (that) we might give to vital matters to a lot of unimportant things.
です。これが見抜けるためには,apply A to Bという基本的な動詞の語法の知識と,目的語に当たる関係代名詞の省略(接触節)という知識が必要不可欠です。と同時に,英語では短い要素が先に来て長い要素は後ろに置かれるという原則を知っていなければなりません。つまり一行程度の英文を正確に読むためにも,文型=語順,文法,語法,構文の知識が求められるのです。文法軽視,文型無視の学習で本格的な英語力が身につくことはまずありません。

上記の英文比べるとかなり短いものの,さらに文構造を掴み難い例を取り上げます。一読どころか二度,三度読んでも理解できない人がほとんどでしょう。
Things we thought we wanted most intensely we realize we don't care about.
この英文の元の語順は
We realize (that) we don't care about things (which) we thought we wanted most intensely.
です。「私たちは,自分が強烈に欲しがっていると思っていたものに,いまは関心がないことに気づく」英語下線部和訳23 基本的には SVO→OSV という倒置 (care about という動詞句のO) ですが,thingsの後ろのwhich が省かれているために,相当な構文把握力が必要になります。文法・構文の知識の重要性は前回も指摘したとおりです。

3 英語と日本語の文法の違い

文法の違いと語順の違いは,日本語と英語の場合には密接不可分です。単語単位での対応関係は一応存在することになっていますが,2 で述べた通り,これは先人の努力に負うところが大きく,英英辞典を見る限りでは,英和辞典の訳語はとうてい出て来ない場合が少なくありません。私自身が,今でも英和辞典に載っていない訳語を新たに考え出すことがあり,自分独自の英和辞典を持っていることになります。しかし,同じようなことは文法に関しても言えるのです。to不定詞は三つの用法に分かれ,副詞用法はさらに細かく分類されますが,あの分類に沿った日本語の訳語が本当に適切なものなのか,そして関係詞の解釈は現在の通説で正しいのか等,すべて解決済みというわけではありません。

たとえば,副詞節が名詞の後に置かれて名詞にかかる形容詞節の働きをするのは接続詞 as の場合だけで,しかも名詞の直後に置かれた場合とされてきました。一部の伝統文法学者はas以外の接続詞にも例があることを事実として認めていますが,あくまでも特殊=偶然の用例であるとしています。また英和辞書の中でも最も文法書に近い「ジーニアス」の新版では,接続詞whenの用法として最後に載せていますが,やはり「直前の名詞」にこだわる一方,afterの場合は最初に「...したあとに[で,の]」という訳語を載せながら,例文も語法の説明もありません。if, as if については言及なしです。と言われてもピンとこない人がほとんどでしょうから,以下に入試の過去問にも取り上げられた英文を例示します。早慶を狙うレベルの人なら理解出来るでしょう。

... what binds us into an international community? In the broadest sense, there is a shared vision of a better world for all people as set out, for example, in the founding charter of the United Nations. (2003年 早稲田政経)英語長文問題34

問題はthere is a shared vision of a better world for all people as set out in the founding charter of the United Nations. の部分です。as以下が前の名詞にかかる形容詞節の働きをしている副詞節であり,as とset out の間に副詞節中の「主語+be動詞」の省略が生じていますが,省かれている主語は they でしょうか it でしょうか。これを as they are set out と読んで,as 以下が修飾する名詞は直前のpeopleだと言いう人は,内容がまったく読めていないことになります。as it is set outであり,一語で言えば vision にかかることは自明のことです。「国連の設立憲章に述べられている(ような),すべての人々のためのよりよい世界という共有のビジョンがある」   

こうした英語の事実にも論理にも反する解釈が(いわゆる専門家の間でも)まかり通っているわけです。after の訳語の「...したあとに,で」→「...したあとの」ですべて説明がつくのです。副詞句→形容詞句と同じことであり,また関係詞節の先行詞が直前の語とは限らないのと同じことです。このことはすでにいろいろなところで触れていますが,読者のレベルがわからないのでこれ以上の深入りは控えます。

単語と文法概念を身につけることは外国語学習の前提条件です。だからといって,例外が多く,厳密性や一貫性に欠ける英語の文法規則をすべて覚える必要はありません。単語を何万語も覚える必要はないのと同じです。
さらに,語順とはあまり関係がないという意味で,それほど重要ではないはずの英語の冠詞は,最も手強い文法事項です。そして,頻出する「前置詞+名詞」の働き,副詞句なのか形容詞句なのか,どの語(句)にかかるのかを正確に理解すること,また接続詞and が何と何を繋いでいるのかを正しく掴むこともけっして容易なことではありません。相当なレベルの英文の読み書きと,聞く話すに支障を生じないためには,英語という言語を成り立たせている「文法的概念」を身につける必要があるのです。(次回は項を改めて,英語の「読み下げ」について取り上げる予定です)

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