阿佐谷英語塾塾長のメッセージ

小論文の採点基準


(2.10.2011 更新)

元々この時期は,在籍生を対象に(自由)英作文と並んで,小論文の対策を予定していましたが,過去の苦い経験から,受験生には早めに小論文対策を呼びかけてきました。したがって,国語の塾に通う,小論文の講座を受講する,模試を受ける,高校の先生に添削をお願いするなど,生徒もそれなりの対策をしてきました。しかし,センター試験以後という直前の時期になって,その仕上がりが具合が必ずしも順調ではないことがわかりました。理由は生徒によってさまざまですが,一つ大きな共通点が浮かび上がってきました。そもそも大学入試における小論文の位置づけと採点基準いう基本的な問題に関する考え方が,人によって実にさまざまだということです。

これは出題する側も,受験する本人も,受験生を指導する側も含めて言えることです。一部の大学はかなり詳細な小論文の採点基準を公表し,一部の大手塾は大学が公表しない採点基準を詳細に分析・予測し,一部の大手予備校は,模試の採点者用に詳細な基準を設けています。こうした公になっている採点基準だけ見ても相当な違いがあります。また過去の受験者の感想も,合否を問わずかなり違っています。なかには,試験日と合格発表日の間隔からして,まともに採点しているはずはないという,説得力のある(?)意見もあります。圧倒的に多数の大学・学部が採点基準や解答例を公表しないために,こうした推測や憶測が生じているわけです。受験生の不安を解消するために,小論文を扱うサイトも少なからずありますが,そこで言われていることもまた共通点にもまして相違点が多く,かえって受験生を混乱させる結果になっています。

阿佐谷英語塾としても,何らかの指針を設けなければ受験生を指導することはできません。受験する大学・学部の特性を無視した一般論はごく当たり前のことしか言えませんが,その当たり前のことでさえ,採点にどう影響するかとなると,推測の域を越えることはできません。例えば指定字数の重要性,誤字脱字の扱い,判読しにくい文字の不利の程度など。内容の独創性に許容される範囲があるのかないのか,課題文の主張に対する否定・肯定は常に100%自由なのか,といったレベルになると,かなり微妙です。分かりやすい例を挙げると,いかに深い知識と思索に基づいて論理的に展開されていても,テロを肯定する意見に合格点が与えられるかどうかです。

私大の入試はすでに始まっています。いまから一般的な読む訓練や書く訓練をしている余裕はありません。最も効率的な対策は過去問から一定の方向性を読み取ることです。他の教科と同じです。大学・学部による出題傾向の違い,つまり求める学力の中味の違いがあるはずです。いまの時期にこういうことを受験生に言うのは酷かもしれませんが,小論文を指導する立場の人には自戒を求めたいと思います。
ただし,入試はあくまでも配点と総合点であることを忘れずに,無難にまとめるか,高得点を狙うかを考えて下さい。そして,課題文の内容以前に,設問文をしかっり読むことです。

慶應法学部の小論文対策 2.10.2011

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